人手不足が深刻化する日本において、外国人の採用は長期的な企業の成長にとって欠かせない役割となってきています。
中でも、特定技能(1号、2号)、技能実習生、技術人文知識国際業務などの就労可能な在留資格を取得した外国籍の候補者を採用される機会も多くなっているかと思います。
海外から来日された新しい社員さんが、まず行わなければいけない重要な手続きの一つが銀行口座の開設です。
さて、ここにスムーズな口座開設を阻む大きな壁があるのをご存じでしょうか。
普段より、外国人就労者のサポートをおこなう弊社の経験から、口座開設の際の注意点や対策方法を伝授いたします!
1. 銀行口座の開設時に早速直面するジレンマ
日本の銀行では、口座開設時に本人確認のための書類提出が求められます。
この際、提出書類の一つとして日本国内で利用可能な電話番号の記入が必要になるケースが多いのが実情です。
しかし、新たに来日した外国人にとっては、この電話番号を取得すること自体が容易ではありません。
その理由の一つが、電話番号取得時に銀行口座が必要とされることが多い点です。
通信会社との契約には、月額料金の支払い方法として銀行口座が一般的に求められます。
つまり、「電話番号を取得するためには銀行口座が必要であり、銀行口座を開設するためには電話番号が必要」というジレンマが生じるのです。
電話番号の取得時にクレジットカードを利用する、という方法も考えられますが、弊社の経験上、多くの新規就業者様はクレジットカードをお持ちではない場合が多いのが実情です。
これらの課題が複雑に絡み合い、初めての手続きに苦労される方が多いのが現状です。
2. 電話番号・銀行口座取得のジレンマを解消する方法
このようなジレンマに直面する外国人労働者や採用企業に向け、以下のような実践的な対策をご提案します。
2.1 プリペイドSIMの活用
電話番号を取得する最も簡単な方法の一つが、プリペイドSIMカードの利用です。
プリペイドSIMは契約時に銀行口座が不要で、即時に電話番号を取得できます。
この電話番号を一時的に利用して銀行口座開設に必要な条件をクリアすることが可能です。
ただし、プリペイドSIMには使用期限があるため、後々の正式な通信契約を見据えた計画が必要です。
また、銀行側によってはプリペイド番号が認められないケースもあるため、事前に確認することが重要です。
2.2 企業名義でのサポート
採用企業が新入社員のために一時的な電話番号や銀行口座の手配をサポートする方法も有効です。
例えば企業の固定番号を一時的に記入することを了承し、その番号を利用して銀行口座を開設してもらう方法などがあります。
ただし注意が必要なのは、そのまま登録の電話番号を変更しないと、口座開設後もその口座には同一の電話番号が紐づけられます。
銀行アプリやデビット/クレジットカードなど、その銀行口座から作成ができる場合がありますが、それぞれのサービス利用時は本人認証を電話番号で行うシステムが多く、会社の固定番号では認証が出来なかったというケースがありますので、お気をつけください。
2.3 特定の銀行を選択
全ての銀行が携帯電話番号を必須としているわけではありません。特に、以下のような金融機関では、比較的柔軟な対応が期待できます。
比較的柔軟な銀行
・インターネット専業銀行
・ゆうちょ銀行
これらの金融機関の中には、在留カードと勤務先の在籍証明があれば、携帯電話番号がなくても口座開設が可能なところもあります。
ぜひ事前に調べてみましょう。
3.まとめ:企業担当者が押さえておくべきポイント
3.1 事前準備の重要性
来日前から、必要書類や手続きの流れを整理し、従業員に説明することが重要です。
特に、在留カードの取得から銀行口座開設までのスケジュールを明確にしておくことで、スムーズな立ち上げが可能になります。
3.2 社内体制の整備
外国人従業員の受け入れ担当者を決め、各種手続きのサポート体制を整えましょう。
可能であれば、母国語でのコミュニケーションが取れる担当者を配置することで、より確実なサポートが可能になります。
3.3 金融機関との関係構築
取引銀行の外国人口座開設担当者と良好な関係を築いておくことで、スムーズな手続きが期待できます。
特に、定期的に外国人従業員の採用を行う企業では、専用の窓口担当者を設けてもらえる可能性もあります。
3.4 専門支援機関に委託する
弊社BOWなどの支援機関は、口座開設の手続きや電話番号の取得など様々なケースに対応する経験値があります。
上記以外のケースなど、ぜひ何でもご相談ください!