特定技能と技能実習は何が違う?制度内容を徹底比較!

特定技能と技能実習は何が違う?制度内容を徹底比較!

近年、外国人就労に関わる法令整備が進み、外国人労働者が増加傾向にあります。

特に、「特定技能」と「技能実習」の在留資格は、外国人に高度な技能や知識を求めないため、これらの在留資格を利用して外国人労働者を受け入れる企業が急増しています。「特定技能」や「技能実習」制度を利用して、外国人労働者の雇用をしたいと考えている企業も多いのではないでしょうか。

しかし、「特定技能」と「技能実習」の制度はどちらも受入可能対象となる事業分野が似ており、制度の違いについて正しく理解するのが難しいです。

そこで本記事では、9つポイントに絞り、特定技能と技能実習の制度を比較していきます。

「どちらの制度を活用したらよいのかわからない・・」と悩んでいる採用担当者様の参考になれば幸いです。

目的の違い

purpose

特定技能

特定技能の目的は日本産業の人手不足を補うことにあります。

日本産業の人手不足は深刻化しており、生産性向上や国内人材確保の取り組みを行っても、人手の確保が困難な状況にありました。そこで、創設された制度が特定技能です。

特定技能は、人手不足が深刻な産業分野において、一定の専門性・技能を有する外国人を受け入れ、人手不足を解決することを目的としております。

技能実習

技能実習の目的は、開発途上国への技術・技能・知識などの移転です。

母国では技術や技能等を身につけることが難しい分野において、日本での就労を認め、日本の優れた技術、技能、知識を修得してもらい、母国に帰国後、修得した技術・技能・知識を活かし、母国の経済発展に貢献してもらう仕組みになっています。

つまり、技能実習は国際貢献なのです。単なる「労働力」として技能実習制度を利用してはいけません。

「目的」のポイント

  • 特定技能 
    ➡ 人手不足の解決
  • 技能実習 
    ➡ 開発途上国への技術・技能・知識の移転

在留期間の違い

特定技能

特定技能には特定技能1号と特定技能2号の2種類の在留資格があります。

特定技能1号の在留期間は、通算5年です。一時帰国した期間は、在留期間に含まれません。特定技能1号が修了すると、母国へ帰国または、特定技能2号へ更新となります。特定技能2号の在留期間は無期限です。原則、日本に永久的に就労することができます。

※現在、特定技能2号を取得できる業種は建設、船舶・舶用工業のみです。

技能実習

技能実習には、技能実習1号、技能実習2号、技能実習3号の3つの在留資格があります。

技能実習1号の在留期間は1年、技能実習2号は2年、技能実習3号は2年です。
ただし、どの在留資格でも1年ごとの在留期間更新が必要になります。
技能実習2号または3号を修了すると、母国へ帰国、または特定技能1号へ移行が可能です。

また、技能実習は母国へ帰国している期間も在留期間に含まれます。

「実習期間」のポイント

  • 特定技能 
    ➡ 特定技能1号が通算5年、特定技能2号が無期限
  • 技能実習 
    ➡ 最長5年
      技能実習2号または3号修了後に特定技能への移行が可能

外国人の技能水準の違い

特定技能

特定技能は人材不足を補うことが目的であるため、外国人には即戦力として活躍できる能力や経験が求められます。そのため特定技能の在留資格を取得するためには、技能や知識を図る特定技能1号測定検定と日本語試験の合格が条件となっています。

  • 特定技能1号測定試験
    業種ごとに学科・実技の試験が用意されており、試験の合格が必要。
  • 日本語試験
    以下の2つのうち、いずれかの合格が必要。
    ・日本語能力試験(JLPT)・・・N4以上
    ・国際交流基金日本語基礎テスト・・・A2以上

▼各試験に内容や合格基準について知りたい方は、こちらよりご確認ください。

技能実習

技能実習は、日本で技術や技能、知識を修得することが前提としてあるため、外国人に求められる技能水準は特にありません。

「外国人の技能水準」ポイント

  • 特定技能 
    ➡ 一定の技能・知識が求められる
  • 技能実習 
    ➡ 技能や知識などは不問

受入可能業種の違い

特定技能

特定技能では人手不足が深刻とされる14業種にて、外国人の就労が認められています。
もともと、人手不足を補うための制度であるため、“どの分野でどの商品を作るのか“が重要な指標になります。

特定技能14業種

  • 介護
  • ビルクリーニング
  • 素形材産業
  • 産業機械製造業
  • 電気・電子情報関連産業
  • 建設
  • 造船・船用工業
  • 自動車整備
  • 航空
  • 宿泊
  • 農業
  • 漁業
  • 飲食料品製造業
  • 外食業

▼特定技能で受入可能な14業種の詳細情報は、こちらよりご確認ください。
 特定技能外国人の受入を検討されている方向けに簡単な業種診断ツールもご用意しておりますので、ご活用ください!

技能実習

技能実習には、技能実習1号から2号へ移行が可能な「移行対象職種」があります。

現在の移行対象職種は85職種156作業です。

技能実習は母国への技術・技能などの移転が目的であるため、“どの職種でどういった作業を行うのか”が重要な指標となります。

技能実習85職種156作業

  • 農業(2職種6作業)
  • 漁業(2職種10作業)
  • 建設関係(22職種33作業)
  • 食品製造関係(11職種18作業)
  • 繊維・衣服関係(13職種22作業)
  • 機械・金属関係(15職種29作業)
  • 航空(1職種3作業)
  • その他(19職種35作業)

*技能実習2号・3号修了した場合、特定技能への移行が可能ですが、「繊維・衣服関係」など移行ができない職種・作業がありますので、注意が必要です。

▼技能実習で受入可能な85職種156作業の詳細情報は、こちらよりご確認ください。
 技能実習の外国人受入を検討されている方向けに簡単な作業診断ツールもご用意しておりますので、ご活用ください!

「受入可能業種」ポイント

  • 特定技能 
    ➡ 14業種、「商品」を重視
  • 技能実習 
    ➡ 85職種156作業、「作業」を重視

作業内容の違い

特定技能

特定技能では、従事が認められる業務範囲が比較的広いです。
製造する商品に付随する作業であれば、従事させることが可能です。

技能実習

技能実習では、作業ごとに「必須作業」「関連作業」「周辺作業」が決められており、技能実習実施計画通りに、実習を行わなければいけません。

そのため、技能実習実施計画に記載した以外の作業をさせてしまうと、技能実習生の受入ができなくなってしまう場合もございますので、注意が必要です。

「作業内容」ポイント

  • 特定技能 
    ➡ 従事可能な業務範囲が広い
  • 技能実習 
    ➡ 技能実習実施計画に定めた作業以外は不可

転職の違い

特定技能

特定技能では、転職が可能です。同一分野内での転職の場合、技能検定の再受験を受ける必要はなく、転職手続きさえ行えば、転職が可能です。

一方、他分野での転職を希望する場合は、技能検定の再受験が必須で、即戦力として活躍できることを証明する必要があります。

技能実習

技能実習は原則転職ができません。
しかし、受入企業での経営悪化などによって技能実習の活動が困難になった場合や受入企業での不正、外国人に対する不当な扱いが認められたなどの場合には、別の企業へ転職することができます。

「転職」ポイント

  • 特定技能 
    ➡ 転職可能
      別分野への転職には技能検定の再受験が必要
  • 技能実習 
    ➡ 転職は原則不可

雇用人数の違い

特定技能

特定技能では、介護・建設分野以外、雇用可能人数に制限がありません。

そのため、企業にとって必要な人数を雇用することができます。 介護、建設分野では、常勤職員の人数が雇用数の上限になっています。

技能実習

技能実習では、雇用できる外国人の人数に制限があります。

技能実習は、外国人が日本の技術・技能・知識等を修得することが目的であるため、受入企業は外国人が有意義な実習生活を送れる環境を維持しなければいけません。そのため、キャパ以上の技能実習生の受入ができないよう、雇用人数には制限があります。

また、受入企業と監理団体が優良基準適合者に認定されている場合、雇用可能人数は優遇されます。

*通常の雇用人数

実習実施者の
常勤の職員総数
技能実習生の雇用人数
第1号
基本人数枠
第2号
(2年)
301人以上常勤職員数の1/20基本人数枠の2倍
201人~300人15人
101人~200人10人
51人~100人6人
41人~50人5人
31人~40人4人
30人以下3人

*優良基準適合者の場合の雇用人数

第1号第2号
(2年)
第3号
(2年)
基本人数枠の2倍基本人数枠の4倍基本人数枠の6倍

▼技能実習の雇用人数に関する詳細を知りたい方は、こちらよりご確認ください!

「雇用人数」ポイント

  • 特定技能 
    ➡ 制限なし
  • 技能実習 
    ➡ 制限あり

採用方法の違い

特定技能

特定技能の外国人を雇用する場合、採用方法に制限はありません
自社サイトでの募集、人材紹介サービスの利用、知人の紹介など企業が自由に採用方法を選択することができます。

技能実習

技能実習の外国人を採用する際は、監理団体を通して、海外現地にある送り出し機関が人材募集の対応を行います。その後監理団体、送り出し機関と連携しながら面接を行い、採用者を決めます。

通常、送り出し機関は採用人数の約2倍程度の候補者を用意するため、希望通りの人材確保が比較的簡単です。

「採用方法」ポイント

  • 特定技能 
    ➡ 企業が自由に選択可能
  • 技能実習 
    ➡ 海外現地の送り出し機関と連携する監理団体を通して外国人を採用

サポート体制の違い

特定技能

特定技能では外国人のサポート対応を登録支援機関に委託するのが一般的です。

特定技能では、外国人が職業生活上・日常生活上・社会的に円滑な社会を送れるよう、受入および管理を適正に行うことが求められます。

また、受入企業は過去2年間に中期滞在者(就労ビザなど)の受入または、管理を行った実績などが求められます。
もしこの実績に該当しない場合は、登録支援機関と呼ばれる支援団体に委託することができます。

※特定技能には、義務的支援と呼ばれる支援項目が取り決めされています。
例)生活オリエンテーションの実施、居住確保や生活に必要な契約支援、日本人との交流促進に係る支援等

▼登録支援機関による支援内容の詳細を知りたい方は、こちらよりご確認ください。

技能実習

技能実習では、多くの企業が監理団体と契約し、監理団体が受入までの手続きや採用対応、通訳、受入後の監査や指導、技能検定受験などのサポートを行っています。

外国人への実習や生活への支援は、受入企業側が行います。
受入企業は、「技能実習責任者、技能実習指導員、生活指導員」を選定し、外国人の職業上、生活上の支援・サポートを行わなければいけません。

▼監理団体について詳細を知りたい方は、こちらよりご確認ください!

「サポート体制」ポイント

  • 特定技能 
    ➡ 登録支援機関が受入企業をサポート及び外国人への支援を実施
  • 技能実習 
    ➡ 監理団体が受入企業をサポート、受入企業が外国人への支援・サポートを実施

参照
出入国在留管理庁「特定技能運用要領
外国人技能実習機構「技能実習運用要領

まとめ

特定技能と技能実習は、どちらも外国人の雇用制度ですが、制度の内容は大きく異なります。
今後会社の方針や現状をきちんと把握したうえで、最適な制度を選ぶようにしましょう。

*企業の採用要望例

特定技能・即戦力がほしい
・日本語が話せる人がほしい
・たくさん雇用したい
・幅広い業務に従事させたい
・早く人材を確保したい
技能実習・国際貢献がしたい
・長期就労を目指したい
・雇用人数は少数
・一定数の人材を確実に確保したい

また、どちらの制度を利用するにしても、外国人が働きやい環境を提供することが必要です。
外国人が高いモチベーションを持ち働き続けられるよう、制度の内容を正しく理解し、企業全体で受入環境を整備するようにしましょう。

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