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外食業における外国人採用と特定技能制度

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コロナによる入国制限が緩和され、訪日外国人数が急増しています。
2023年1月~5月の訪日外国人数は、合計約863万人で前年比約22倍に増加しました。

国籍別にみると、1位韓国(約258万人)2位香港(約138万人)3位アメリカ(約75万人)4位香港(約72万人)5位
タイ(約45万人)となっています。アメリカやタイ、ベトナムでは、コロナ以前(対2019年比)よりも上回る結果となりました。



また、観光庁の「訪日外国人消費動向調査2022年」によると、
訪日外国人の「訪日前に期待していたこと」第1位が「日本食を食べること」という結果となり、
訪日外国人の「日本食」への関心の高さが分かります。


飲食店での外国人対応が求められる一方、
飲食店では、深刻な人手不足の問題があります。

帝国データバンクの人手不足に対する企業の動向調査(2023年4月)によると、
全業種の従業員の過不足状況を尋ねたところ、非正社員別では、「飲食店」の人手割合が1位となり、
約85%の飲食店で人手不足が見られました。

外食業では、労働力の多くをパートやアルバイトに依存しており、コロナ以前からも若年人口の減少により人材確保が難しいとされてきました。

そこで、近年注目されている解決方法が「特定技能外国人の採用」です。
本記事では、特定技能ビザ以外での採用方法と比較しながら、外食業における特定技能制度を
ご紹介していきたいと思います。

参照
日本政府観光局「訪日外客統計」

外食業で就労が可能なビザ

飲食店が外国人スタッフを採用するためには、飲食店での就労が可能なビザを保有する
外国人を採用しなければいけません。

現在、飲食店での就労が可能なビザはいくつかあり、
ビザによって、就労時間や業務内容、ビザの資格要件が異なります。

まずは、飲食店での就労が可能な代表的なビザを紹介していきたいと思います。

① 技能

1つ目のビザは、「技能」ビザです。
技能ビザは、日本人が代替できない産業において、熟練した技能を有する外国人を受入れるために設立されたビザです。

外食分野では、外国料理専門店に限られ、その分野で10年以上の実務経験がある外国人の受入れが
可能となっています。
そのため、日本料理店や、接客業では外国人の受入れができません。
例)イタリア料理店でのシェフ、中華料理店の調理師、インド料理店のコックなど

1度に許可される在留期間は、5年、3年、1年又は3月ですが、
更新回数に制限はございません。

② 技術・人文知識・国際業務

2つ目のビザは、「技術・人文知識・国際業務ビザ」です。

「技術・人文知識・国際業務ビザ」は、優秀な外国人材を採用し、日本の経済を発展させるために設立されたビザです。
大学や専門学校で学んだ技術や知識、実務経験を生かした業務への従事が可能です。
そのため、調理スタッフや会計業務、接客業務などの単純作業はできません。

例)メニューの商品開発、経理、店舗開発、店舗管理等

1度に許可される在留期間は、5年、3年、1年又は3月ですが、
更新回数に制限はございません。
また、学歴要件があり、日本の専門学校・大学・大学院の卒業または、
海外の大学・大学院の卒業が必要です。

③ 特定活動「特定調理等活動」

3つ目のビザは、特定活動ビザの「特定調理等活動」です。
特定活動ビザの「特定調理等活動」は、調理または製菓の専門学校/大学を卒業した留学生の就職先を拡充し、日本の食・食文化の海外普及の促進を行うために設立されたビザです。

在留期間は、最大5年で、実習期間に下ごしらえから料理の完成に至るまでの一連の作業工程を実習することが可能であることが前提とされています。

④ 特定活動46号

4つ目は、特定活動46号ビザです。
特定活動46号は、日本の大学または大学院を卒業した留学生の就業支援のために設立されたビザです。
このビザを取得するためには、日本の4年大学以上を卒業し、日本語能力試験N1の取得が必要です。

調理・接客・店舗管理など幅広い業務に従事することが可能です。
ただし、「翻訳・通訳」の要素のある業務や、自ら積極的に第三者へ働きかける際に必要となる日本語能力が求められる業務である必要があります。
1度に許可される在留資格は、5年、3年、1年、6月又は3月ですが、
更新回数に制限はございません。

⑤ 留学(アルバイト採用)

5つ目のビザは、留学ビザです。留学ビザは、日本への留学を目的とした外国人のための在留資格で、
留学ビザを保有している外国人を採用することができます。

留学ビザでは、資格外活動の許可を得た場合に、アルバイトとしての雇用が可能です。
職種や業務内容に関する制限はありませんが、就労時間は週28時間以内の制限がございます。
(学校が長期休みの場合は、1日8時間以内まで就労可能)

特定技能がおすすめの理由

特定技能以外の5つのビザをご紹介してきました。
この5つのビザの注意点をまとめると以下があります。
・ビザ発行に学歴/職歴要件がある
・ビザ発行に高い日本語能力が求められる
・業務の制限がある
・就労時間の制限
これらを補填できるビザが「特定技能ビザ」です。

特定技能ビザとは

特定技能とは、日本産業における人手不足を解決するために設立された在留資格です。

現在では、人手不足が深刻な12業種にて、外国人の受入れが可能です。
外食業においても外国人の受入れが可能で、2022年6月時点では約3200人の特定技能外国人が
働いています。

コロナ緩和により、インバウンド需要が拡大することが見込まれている今、
言語が堪能な外国人を受入れる企業が増加していくことが期待できます。

在留期間

特定技能の在留期間は、最大5年間です。
1度のビザ申請で許可される在留期間は「4か月」「6ヶ月」「1年」となり、
通算上限5年の在留が可能となります。

従事可能な業務

外食業では、飲食物調理、接客、店舗管理の業務が可能です。

  • 飲食物調理
    お客様に提供する飲食料品の調理、調製、製造を行うもの
    (例:食材仕込み、加熱調理、非加熱調理、調味、盛付け、飲食料品の調製 等)
  • 接客
    お客様に飲食料品を提供するために必要な飲食物調理以外の業務を行うもの
    (例:席への案内、メニュー提案、注文伺い、配膳、下膳、カトラリー
    セッティング、代金受取り、商品セッティング、商品の受け渡し、食器・容
    器等の回収、予約受付、客席のセッティング、苦情等への対応、給食事業所
    における提供先との連絡・調整 等)
  • 店舗管理
    店舗の運営に必要となる上記2業務以外のもの
    (例:店舗内の衛生管理全般、従業員のシフト管理、求人・雇用に関する事務、従業員の指
    導・研修に関する事務、予約客情報・顧客情報の管理、レジ・券売機管理、
    会計事務管理、社内本部・取引事業者・行政等との連絡調整、各種機器・設
    備のメンテナンス、食材・消耗品・備品の補充、発注、検品又は数量管理、
    メニューの企画・開発、メニューブック・POP 広告等の作成、宣伝・広告の
    企画、店舗内外・全体の環境整備、店内オペレーションの改善、作業マニュ
    アルの作成・改訂 等)
  • ビザ取得方法

    外国人が外食業で特定技能ビザを取得するためには
    「特定技能1号技能測定試験」および「日本語能力試験N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テストA2以上」
    の資格を取得する必要があります。

    特定技能1号技能測定試験とは?

    「特定技能1号技能測定試験」とは外食業に関する技能・知識を測る試験です。
    「衛生管理」、調理や食材に関する「飲食物調理」、接客サービスやクレーム対応に関する
    「接客全般」の3つのカテゴリーから問題が出題されます。
    日本国内だけでなく、海外(ネパール、ミャンマー、インドネシア、タイ、スリランカ、フィリピン、カンボジア)でも受験が可能です。

    *2022年度特定技能1号測定試験受験結果
    受験者数合格者数合格率
    国外
    3,138 2,17469%
    国内11,1717,18864%

    日本語能力試験

    日本語能力試験は以下の試験のいずれかの合格が必要です。
    • 日本語能力試験:N4以上
    • 国際交流基金:日本語基礎テスト A2以上
    日本語能力試験は国内の場合、1年に2回(7月・12月実施)、
    国際交流基金日本語基礎テストは、ほぼ毎日実施されています。

    雇用可能人数

    特定技能では、雇用人数に制限はございません。
    人手が必要な人数分の採用が可能です。

    報酬

    特定技能外国人への待遇は、同業務に従事する日本人と同等以上です。
    給与だけでなく、福利厚生や有休なども同条件となります。
    • 給与:勤続3年目の日本人従業員と同等以上
    • 勤務時間:原則1日8時間以内、1週間に40時間以内
    • 休日:少なくとも1週間1日以上
    • 時間外手当:深夜勤務や残業をする場合、賃金は25%を上乗せ
    • 有給:入社半年後に10日以上の有給を付与

    特定技能外国人を受入れるためには

    特定技能外国人を受け入れるためには、企業側の受入れ準備が必要です。

    ①特定技能外国人の支援体制

    特定技能外国人を受け入れるためには、受入施設が法律で定められている義務的支援を行う必要があります。
    ただし、特定技能外国人の受入実績がない、または義務的支援の実施が難しい場合は外部に委託することができます。
    受入施設から委託を受けて、受入施設の代わりに義務的支援を実施する企業・団体のことを「登録支援機関」といいます。

    義務的支援とは以下の10項目です。
    • 事前ガイダンスの実施
    • 出入国する際の送迎
    • 生活に必要な契約の支援
    • 生活オリエンテーション
    • 公的手続等への同行
    • 日本語学習の機会の提供
    • 相談・苦情への対応
    • 日本人との交流促進
    • 転職支援
    • 定期面談・行政機関への通報

    ②協議会への加入

    特定技能外国人を受け入れるためには、「食品産業特定技能協会」に加入し、構成員になることが必要です。
    特定技能外国人を受け入れる全ての受け入れ機関・企業は協議会の構成員になることが必要です。
    協議会は、業種ごとに協議会が設置されており、飲食料品製造業の協議会は「食品産業特定技能協議会」といいます。
    受入企業は協議会の構成員となり、協議会の活動に協力しないといけません。

    以下は協議会の活動内容の例です。
    • 特定技能外国人の受け入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
    • 特定技能所属機関(受入機関)等に対する法令順守の啓発/li>
    • 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
    • 地域別の人手不足の状況把握・分析

    まとめ

    本記事では、外食業における特定技能制度をご紹介いたしました。

    本記事でもご紹介の通り、特定技能のビザを取得するためには、一定以上の日本語能力の資格が必要ですが、
    日本語能力には個人差がございます。

    入社後のミスマッチを防ぐためにも登録支援機関を利用することをお勧めします。
    登録支援機関は、義務的支援の受託以外にも特定技能資格候補者の紹介も行っている場合がございます。
    特定技能資格候補者のスクリーニングをし、施設様のニーズに沿った人材の紹介を受けられることで、採用もスムーズに進みます。
    弊社は、登録支援機関として登録支援サービスはもちろん、特定技能資格候補者の紹介も行っております。
    下記のフォームより弊社サービスの資料ダウンロードが可能です。ぜひ、ご検討をお願いします。

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